ホイールのデザインがなぜ複雑に作られているか疑問に思ったことはないでしょうか?
タイヤや車両の整備士など、何らかの形でホイールにかかわっている人でさえ、結局のところホイールはホイールでしかないのだから単純な作りである「べき」と言われることがあります。
アルコアホイールの販売代理店であるハウメットホイールシステムズでは、軽量で頑丈なホイールをデザインすることが第一優先です。なぜなら、車両が健全な収益を得るのに必要な積載容量の増加、燃費向上、これらの要素がトラックやバス、トレーラーの全体のパフォーマンスを左右するからです
単なる丸い型だけではない
グローバルデザインマネージャーのグラント・ディジョージ氏は14年間でおよそ10種類のホイールのデザインしてきました。
「ホイールは単なる丸い型ではありません。22.5”x8.25”のサイズのホイールの注文が入ったら、そのデザインを引っ張りだしてテストにかけるわけではないのです。装着方法、オフセット、操舵位置の有無など、お客様の手元に渡るまで多くの検討項目があります。」
お客様のニーズに加え、ホイールの設計において、荷重定格、圧力定格、使用する環境、ディスクかドラムかブレーキシステムの要素も考慮する必要があります。これらすべての要素を考慮した上で、市場で最も軽く頑丈と評されるホイールが設計されるのです。
「ホイールを設計する際は、システム全体のソリューションを提供しているのです」
以下に示すのが、ホイール市場で最も軽量、頑丈なホイールを設計する際の意外な5つの項目です。
1.積載量の秘密
重量が750~1000kgの小型商用車の場合、ホイールの重量は1本当たり13~14kgで、場合によっては18kgを超えることもあります。
一方でトラック用ホイールは3500kg以上の荷重を支えることができます。そして、2021年2月に発売された新型ホイール Alcoa® Ultra ONE® 22.5 x 8.25インチは、わずか18kgのホイールで車両を支えています。
これは正に技術的成果のなせる業です。小型トラックは、トラックの約3分の1以下の重量しか運べないにもかかわらず、ほぼ同じ重さのホイールを使用しているのです。
また、荷重とはトレーラーに積載されている貨物の重量だけではありません。
「荷重には、タイヤや組付け方といった、その荷重がどのようにホイールに伝達されるかなど、すべての要素が含まれます。」
「過酷な使用環境を把握しており、それを有限要素解析(FEA)に組み込むことで、そのホイールが最大荷重に対応できるように設計します」と、説明しています。
2. ホイールが回転する秘密
ホイールが回転すると、荷重はタイヤを介してホイールにさまざまな場所とタイミングで伝達され、その結果ホイールに加わるストレスが生じます。
「ホイールを設計する際には、回転サイクル全体を考慮する必要があります。というのも、ストレスは一箇所に集中するわけではなく、荷重定格も変動するからです」とグラント氏は説明します。
つまり、設計者は、ホイールの回転による荷重変動に対応できるように設計しなければならないということです。
これは『サイクル荷重』と呼ばれ、トラックやトレーラーの運行中にホイールが力や変動する荷重に十分耐えられるようにすることが重要です。
3.ホイールの各パーツの秘密
リム、ハンドホール、表面の切れ目など、ホイールが荷重のストレスに耐えられるように設計するために、注意すべき要素は多岐にわたります。
各パーツは、荷重ストレスに対して異なる反応を示すため、鍛造ホイールを単なる一体のアルミニウムとして扱うことはできません。
エンジニアチームが更に考慮する項目として、過度な空気圧、空気圧不足、タイヤの擦れ、ステアリングの旋回時のストレスなどがあります。これらすべてがホイールの荷重のかかり方に影響を与えます。ハンドホールにかかるストレスがボルトホールに移動することもあるのです。
4.タイヤの秘密
ホイール設計において、もう一つ重要な要素は、市場に出回っているタイヤとホイールの各部品を照合することです。
ミシュラン、ブリヂストン、グッドイヤーなどの大手タイヤメーカーから新しいタイヤが発売されるたびに、弊社デザイナーはこれらを徹底的にリサーチし、新しい荷重定格などを考慮に入れ、ホイールが新しいスペックや環境に合致するように設計します。
タイヤ業界の標準化もホイール設計に影響を与えます。市場に出回っているタイヤに適合するようにリムが設計し、装着方法の国際タイヤ規格を遵守します。
「タイヤをホイールに組もうとしたときに、うまくいかない、あるいはタイヤを傷めるようなホイールを設計することは絶対に避けたい」とグラント氏は述べています。
「私たちはタイヤの最小最大寸法を基に、互換性のあるリムを設計しています。」
5. テストの秘密
アルコアホイールは、市場に販売される前に、厳格かつ徹底的なテストを受けています。
その一つに、半径方向負荷耐久試験、回転曲げ疲労試験があります。この試験は、LBFテストとしても知られ、ホイールの耐久性をテストする際に、回転や湾曲、運用時の荷重条件など、実際の走行条件を考慮に入れています。
他に行われるテストは、RRムーア試験と呼ばれる材料試験で、耐久限界に達するまで繰返し疲労をテストします。ホイールにかかるストレス要因を増減させるために、さまざまな変数を組み合わせ、すべての可能性を網羅します。
すべてのアルコアホイールは、国際的に認知されたラジアルおよびコーナリング疲労試験基準**で求められる100万サイクルの要件を超えています。
ラボでの解析も重要ですが、実際の環境では状況が異なるため、優れたホイール設計には実際の道路でのテストも含まれます。
グラント氏は次のように述べています。「私たちは、お客様がどのようにホイールを使用しているかも必ず確認します。道路上でホイールにかかるダメージが、当初考慮していたものやテストしていたものとは異なる場合があるからです。そのため、お客様からのご意見は非常に重要で、それによって私たちが設計すべきターゲットが明確になります。」
現場でのダメージサイクルには、横力の増加、コーナリング荷重の増加、またはホイールの車両での位置が影響を与えることがあります。
「鉱業や建設といった極限での使用環境に対応するホイールを設計する際には、その特定の用途に合わせて設計する必要があります」と彼は付け加えます。
ホイール設計がこれほどまでに複雑な作業だと想像できたでしょうか?
お客様のニーズや用途に応じた設計は、アルコアホイールの哲学に深く根付いており、その成果は確かなものです。
アルコア Ultra ONE® 22.5 x 8.25ホイールは、業界標準の6061アルミニウム合金ホイールよりも17%高い強度を持ちながら、わずか18kgの重量で、重機用ホイールの耐久性、持続可能性、信頼性を向上させるための先駆けとなっています。
アルコア® ホイールであることをご確認ください
ホイールの仕様については、アルコアホイールの販売部門に電話いただき、ホイールのスペシャリストにご相談ください。もしくは、お問い合わせフォームにご記入いただくと、ご質問にお答えし、仕様についてご相談させていただきます。